DTM(デスクトップ・ミュージック)レッスンの時に、
生徒が入力した音源データに対し、
と言って、ベロシティ(強弱)やデュレーション(長さ)を加工していたら、
その質問の意図をいろいろ聞いてみると。。。
彼(
ピアノのレッスン中良く言われたのが、
「譜面通りに弾きなさい!。」
ということだったらしいです。
私がベロシティやデュレーションをちょいちょい変更しているのを見て、
せっかく自分が一生懸命譜面通りに入力した音符を勝手に書き換えられたと思ったみたいでした。
私がちょいちょいと加工していたものはどんなものか?
とりあえず、加工前と加工後、聴いていただけますか。
加工前と加工後、違いがわかりますかね?
これだけだとちょっとわかりにくいかもしれませんが。
楽譜としては同じデータなんですよ。
(出典=RMS「コンピューター・ミュージック-2 テキスト」より)
それでは「加工後」と言っているのはどういう処理をしたかというと。
一番上段はピアノロールという画面です。
楽譜を見慣れている方は、「あれ?」と思うかと思いますが、
左側にピアノの鍵盤のイメージが付いているので、なんとなくわかるかと思います。
ピアノロールの良いところは、楽譜に不慣れな人でも直観的にわかること。
そして何より、
音の長さ(デュレーション)が正確に見えること。
楽譜で四分音符で書かれていても、長めの四分音符なのか? スタッカートぎみの四分音符なのか?
わからなかったりするのですが、ピアノロールで見ると、同じ四分音符でも長さの違いがわかります。
そして下段にはオプションで、
・ベロシティ(音の強弱)
・モジュレーション(音を揺らす:ビブラート)
・エクスプレッション(音量:ボリューム)
・ピッチベンド(しゃくりを表現)
のコントロールを追加しています。
このピアノロールを使って、もう一度加工前と加工後を見てください。
どうでしょう?
ちょっとは人間が吹いている感じに聴こえてきましたかね?
コンピューター・ミュージックというと、
ゲーム音楽のような無機質なピコピコ音楽を想像する人がいるみたいです。
ピコピコ音が完成形であったのははるか昔で、
今では、人間が表現したいと思うレベルは充分対応できる性能まで上がってきています。
それを使い切れるかどうかは人間しだい。
そう考えたら、コンピューターも楽器と呼んで良いのではないでしょうか。
明らかに旧来の楽器と違う点は、
「譜面を正確に弾く」という行為については、1日の操作説明を受けるだけでクリアできてしまうということ。
ピアノでもギターでも、前述の彼(
「譜面通りに弾く。」
ということは非常にハードルの高いことです。
何年、何十年と毎日来る日も来る日も何時間も練習しないと思うように弾けません。
コンピューター・ミュージックでは譜面に書かれた音符を正確に弾く、という行為は
コンピューターがやってくれますので、
人間はその後の、
・どういう風に表現しようか?
・どういう風にオリジナリティを出すか?
と、元来演奏家が考えるべき領域にいきなり入っていけるのです。
ピアノを1から練習することを考えると、
10年間ぐらいワープした時点から音楽を始められるのではないでしょうか。
コンピューター・ミュージックの教室って、ピアノとかギター等の楽器教室に比べて
いまいち認知されていないんですよ。
私のDTMレッスンのホームページもGoogle広告を出しているのですが、
そこで表示されたキーワードを見ると、
”和太鼓教室”とか”ハーモニカ教室”、”チェロレッスン”とか。。。
なんで????
っていうようなキーワードで検索されたところで表示されているみたいです。
と思いながら。。。
やっぱり、「コンピューター・ミュージック=ピコピコ音楽」っていうイメージが強いのでしょうか?
なんとか、そこら辺を打破すべく、
啓蒙活動にいそしまなければならない!
と思った、のどかで楽しいレッスンでした。