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動画におけるプロのクオリティ

マルチカメラで撮影していると、
「プロのクオリティは必要ないから、台数を減らして金額を安くできないですか?」
と言われることがよくあります。
また、私が運ぶ機材の量だけを見て、
「1台でちょこちょこっと撮ってもらえれば良かったのに。そんなプロ並みのクオリティは必要ないので。」
なんてことを聞くたびに、
私の心の中では、
「プロのクオリティ、って何だ?」
と叫んでいる小人がいます。

そもそも私がマルチカメラで動画撮影をはじめたのは、
・ライブで曲の途中に出てくるギターソロを撮影したい!
という想いからでした。
その曲をよく知っていて、どのフレーズが来たら、次はギターソロが来る、
というのを把握できていれば、それに合わせてカメラをギターに振れば良いですが、
知らない曲の場合、ギターソロが始まってからカメラを振っていたら、おいしい映像を逃してしまいます。
それならば、最初からギターを撮影するカメラを設置しておこう、と考えただけです。
高画質のカメラが安く手に入るようになったので実現できた撮影手法です。

(写真はギターではなく三味線ですが。。。)

ギター(三味線)ソロが始まってからカメラを振っていたのでは遅すぎます。

また、曲に応じて1カメラを操作するには、
その曲に全神経を研ぎ澄まして集中しなければなりません。
1時間程度のライブでしたらそれも可能ですが、
対バン形式で何バンドも出演する、しかもトータルが数時間に及ぶ、
と言った場合、途中で集中力も途切れてしまいます。
1カメラだけで、欲しい映像を抑えるというのが、いかに難しいことか、
動画撮影の経験が無い人には理解してもらえません。
逆に、普段見ているテレビの映像が基準になっているので、
どんな状況下でもテレビのような映像が撮影できると思われてしまいます。

動画におけるクオリティと言われると、何を指すのでしょう?
最近はフルHDTVで安いカメラが出ているので、正直”画質”だけでは区別が付きません。
プロの世界でクオリティというと、
・色がちゃんと出ているか? 例えば肌色がちゃんと肌色として表現できているか?
・声はちゃんと聴きとれるレベルで録音できているか?
等々、さまざまな要素で判断されます。
そのためには、さまざまな分野で専門のエンジニアが携わっております。
一人で全てを受け持っている私など足元にもおよびません。
しかし一般人にとって面白いと思う動画は、
被写体(写っている人)を良く知り、内容(曲)を良く知っている人が、
何を撮影すべきか把握しきって撮影した動画の方です。
実は「クオリティ」と言われているのは、面白いか?面白くないか?を指していることが多く、
それを考えると他人から依頼されて撮影する映像は、面白くない場合が多いです。
撮影環境(カメラ設置場所の制限)や、ステージの内容によっては、
どうあがいても面白い映像は撮れないと思える状況もあるので。
そんな時は本当に虚しい。

私は普段13台のカメラでライブを撮影していますが、
「東京ドームでの野球中継も13台のカメラだよ。」
と教えてもらったことがあります。
東京ドームと同じことをやっているんだけど、予算は何倍?何百倍?だよ!、って感じ。

撮影手法をうんぬん言う前に、
「何を撮影してほしいのか?」
「どんな映像を撮影してほしいのか?」
じっくり考えてから依頼してほしいな、と思うのでした。

下記動画はカメルーンから来たワッシーというアーティストのライブ。
14曲中、この1曲だけベースソロが入っています。
しかし、演奏中カメラマンはベースソロに気付かず、
ベースソロの後半でようやく気付き、ベーシストにズームインしています。
ライブ本番中はソロ演奏に気が付かないこともよくあります。
この時のライブは設置場所の観点でベーシストの前にカメラを設置できなかったのですが、
1カメだけで撮影しようとすると、こうなっちゃうのよ。という1例として見ていただければ。

ちなみに、その他の動画
Wouassi & Roots Band

ちなみにワッシーさんは撮影手法に関し何ら口出しせず、きっちりギャラも払って頂きました。
すごくいい人です。
記事のサンプルに動画を使わせていただいただけです。
音楽的にはアフリカのリズムと三味線の和。そしてジャズの要素も加わって、
非常に斬新的で楽しい音楽です。
「こういう音楽好き!」と思う方はぜひ応援してあげてください。

ワッシーのブログ 「わし、ワッシー!

 
 

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